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わたしは声をかける勇気さえなくて、絵美ちゃんとも、佳奈とも放課後まで話さないままだった。

教室を出ていく絵美ちゃんの後ろ姿に、何か言おうとした。

今言わなくちゃ、明日もずっと、これからも、何も言えなくなる。

でも、喉がすぼまって、何かひっかかったみたいで、声がでない。

まって、
帰らないで、
絵美ちゃん。


絵美ちゃんは振り返ることもなく、扉を閉めた。


もし、振り返ってたら、絵美ちゃんは困った顔をしたはずだ。

だって、わたしは、泣きそうだから。

でも、それとも、冷たい目でわたしを見るのかな。



絵美ちゃん、ごめん。



ぐじゃぐじゃになった視界がスッと晴れた。

それからまたぐじゃぐじゃになっていく。

泣くなよ。

わたし、
なんで、泣いてんの。


泣かないでよ。

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