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 コンビニをでて、しばらく裏路地を歩いていたら、あることに気づいた。

……迷ってる?

 わたしの知ってる一番遠いコンビニはわたしのうちとは逆方向で、もう一度、学校の前を通るのは嫌だったから、裏路地を選んだ。

そして、みごとに迷った。

バカじゃんわたし。

 コートを着ていてもマフラーをしていても、風が冷たく感じられる。

とにかく寒さをしのぎたくて、近くのお店に入ることにした。

しばらく歩いてようやくドアノブに営業中の札がかかっている建物を見つけた。

が、看板すらでていない。

いったい何を営業しているのか…

ここ入っても大丈夫?

建物の外装は古めで窓ガラスはホコリでくもっていた。

掃除しようよ…


 わたしがここに入るか否か考えていると、遠くから足音が聞こえた。

反射的に建物の中に隠れた。

中からそっとさっきまで自分がいた通りを見る。
わたしの学校―西中の制服を着た子が店の前を通った。

危なかった。

よかった、会わなくて。

ため息をつくとホコリが舞って、代わりにガラスがくもった。

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