ヒロシマ1945 綾美とまな美
「綾美ッ!戦争が終わったぞ!まな美さんの言う通りだ」
「でも日本は負けたんだよね・・・」
綾美はポツリとつぶやいた。
「まな美さん、今後の日本はどうなってしまうの?」
「えっ・・・・」
まな美はこれ以上の未来の事を教えるのが、二人にとっては良くない事だと思い、言葉に詰まっていた。
「ちょ、ちょっとお手洗いに行ってくるね」
まな美はその場を離れ、病院の手洗い所に向かった。
まな美は手洗い所の鏡を見つめた。
「ワァ、顔が真っ黒だ、そう言えば何日も化粧なんかしていなかったもんな」
まな美は化粧をしながら考えていた。
もし、元の時代に戻れたら、綾美さんは86歳か。
生きていてくれるかな?
もし戻れなかったら、私もこの時代を生きていかないといけないのかな。
2010年には89歳になっちゃうな。
これから、どうしよう!!
まな美は手洗い所を出た。
「あっ!!」
まな美は大きな声をあげた。
「あっ!!ここは!・・・・・・資料館だぁ。」
「戻ったんだ」
そう、まな美はタイムスリップする前にいた場所の原爆資料館に戻っていた。
「夢だった訳じゃないわよね」
まな美は足の包帯を確認した。
「でも・・・いったい・・・とにかく東京に帰ろう」
新幹線に乗り東京に向かったまな美は、足の包帯を直すために、包帯をほどくと、五円札が間にはさまっていた。
「あ、綾美さんたら。きっと私がお金を持ってないと思って、入れてくれたのね。なんて優しいんだろう」
◎戦時中の物価
・アンパン 5銭
・ジャムパン 10銭
・豆腐 10銭
・牛肉100g 46銭
・コーヒー 15銭
・牛肉大和煮缶詰 48銭
・味噌1㎏ 35銭
・小麦粉10㎏ 3円
・日本酒一級(1升瓶) 12円
・日本酒二級(1升瓶) 8円
・日本酒三級(1升瓶) 5円
・大瓶ビール(配給) 2円
・レコードSP盤 3円 23銭