アンダンティーノ ―恋する旋律 (短編)
テツロウが驚いて顔を上げた。
ユマはそのきょとんとした顔をにら
みつけた。
年上なのに子供みたいに感情的で、
霊感が弱いために自分一人では夢枕
にも立てない幽霊。
でも好きな人を思って、そして
その人に伝えたいことがあって、
一年間さまよい続けてきた霊だ。
この先も同じような、しかも終わり
のない孤独にテツロウを追いやるわけ
にはいかない。
ハルキによく似た彼が、ずっと
悲しみの表情をたたえたままなんて
絶対にいやだ。
「でも、暗くなってきたし――」
「いいの」
「さっき期末が近いって――」
「いいってば!」
「ユマちゃん」
ユマはそのきょとんとした顔をにら
みつけた。
年上なのに子供みたいに感情的で、
霊感が弱いために自分一人では夢枕
にも立てない幽霊。
でも好きな人を思って、そして
その人に伝えたいことがあって、
一年間さまよい続けてきた霊だ。
この先も同じような、しかも終わり
のない孤独にテツロウを追いやるわけ
にはいかない。
ハルキによく似た彼が、ずっと
悲しみの表情をたたえたままなんて
絶対にいやだ。
「でも、暗くなってきたし――」
「いいの」
「さっき期末が近いって――」
「いいってば!」
「ユマちゃん」