満月の日
ヴィルヘルムの言葉にミシェルは何も言えなくなる。




それと同時に、自分の目の前にいる幼なじみに対して誇りを感じた。




「それより、久々に一杯やらないか?」




そう言ったヴィルヘルムの手には、いつの間にか赤ワインとグラス二本が持ってあった。




「だな。こういうのも、たまには悪くない。」




ミシェルの答えに、ヴィルヘルムは小さく笑ってワインを注ぐ。




そして二人は無言でガラスを叩き合うと、静かにワインを飲んだ。
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