満月の日
唯一、汗をかいていないハードは先頭に立って歩いていたが、やがてため息をつき、リンのいる場所までやってきた。





「リン。俺の背中に乗れ。」




「はぁ?誰が乗るかよ…。」




暑さで参っているせいか、リンの怒鳴り声も迫力がない。




「良いから乗れ。」




「うおっ!!」




ハードはそう言ってリンを背中に乗せる。




「お・ろ・せ~!!」




リンはせめての抵抗か、ハードの後ろ髪を引っ張る。




しかし、ハードはビクともしなかった。




「行くぞ。」




「う、うん…。」




「えぇ…。」




「分かった…。」




ハードの一言にガンマ、ティラ、ピードは頷く。




「クソー…。この屈辱、いつか晴らしてやる…。」




ただ、リンだけはブサクサ文句を言っていた。
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