月夜の散歩
麦わら帽子を片手で押さえ流れる汗を拭って走る


「待ってよー夕菜…」


ゼーゼーいいながら夕菜に近寄ると橋の欄干から身を乗り出し川を覗き込んでいた


「夕菜危ないよ」


兄に言われていたが気にすることなく身を乗り出す


「陽菜見てよお魚が沢山いる!」


あたしが恐る恐る近付いて身を乗り出しかけた瞬間だった


ぶわっと風が吹きあたしの麦わら帽子をさらっていった


「あっ…!」


夕菜が帽子を掴もうと手を伸ばし更にぐいっと身を乗り出す
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