月夜の散歩
夕菜の姿が見えなくなって暫く経った後


数人の大人達と供に兄が息を切らし帰ってきた


「陽菜!夕菜は?」


橋の上で力無くうずくまるあたしに兄が問いかける


「夕菜…居なくなっちゃった…夕菜が…夕菜が…わぁぁ…いやぁぁ」


狂ったように叫ぶあたしを兄がギュッとと抱き締める


「ごめんな…ごめん陽菜…1人にしてごめん…」


何度も何度も誤る兄の声も耳に届かないほどあたしは泣き叫んでいた


太陽の光に反射してキラキラと輝く川の流れ


沈みゆく夕菜の姿…



あたしの目に焼き付いて離れなかった
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