月夜の散歩

「そうだよー見てたらわかるでしょー陽菜ちゃんを見るあの優しげな目…あんな総長見るの初めてだし俺っ」



優が嵐に少し驚いた顔で話す



「だから大変だよね陽菜ちゃんも」



「だなっ」



遥人が優を見る



3人がこんな会話をしているなんてあたし達は知らなかった



…………
………


「…だせっ」



ゆっくりと動き出す車の窓を開け遠ざかる廃ビルを見ていた



最後にみた切なげな千歳の顔を思って胸の奥が痛む



あたしは"ありがとう大好きだったよ"と心の中で呟いた



大好きだったあの笑顔を思い出しながら…
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