君色ジンジャーティー
00:まずはここまでのあらすじでも話そうか。
友人に彼氏ができた。
それも、年下の。
あれだけ嫌だと言っていた、年下の彼氏。
私は唖然とした。
そして、こぼれだす言葉を飲み込むことができなかった。
「恵理、本当か?」
彼女のふわふわとした焦げ茶色の髪を弄りながら尋ねた後、すぐに後悔した。
本来ならば、祝ってやるのが普通だろうに。
すると、恵理はにこりと柔らかい微笑みを浮かべて言った。
「ほんと。だって、愛しちゃったんだもん」
愛したから。
その言葉は、私達二人の間ではとても重いものだった。
愛はまごころ。恋は下心。
ただの漢字の話だとしても、私達はそれを信じている。
同時に、愛は醜いもの。恋は綺麗なものというイメージを持っていた。
だから、「愛する」というのは、自らの全てをさらけ出す覚悟があってできるものだ。
そう考えている。
まさか。恵理が。
呆然としている私に、恵理はあの時、こう言った。
「愛しちゃったもんはしゃーない。愛してしまったんだから」
そして言葉は続いた。
恵理は、幼子をあやすように私に尋ねた。
「そういう対象、いないわけ?」
残念ながら、私は恋愛なんかに時間を費やす程暇じゃないんだ。
そう素直に答えてやると、恵理は苦笑していた。
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