僕が僕でなくなる前に。
今日も黄金色の満月の夜。

君と最初に迎えたあの夜も、この月とは負けない位の綺麗な月だったっけ。

サイゴを過ごす場所は君と出会ったあの場所が良い、と思った。

でもそこに行けば僕はきっと泣いてしまう。

泣きたくはなかった。せめて笑っていたかった。

ふらふらと彷徨って、見付けたその場所は見た事もない湖。

大きな満月が湖いっぱいに広がり、波を立てて揺れている。

なんでもっと早くにこの場所を見つけられなかったのだろうと、

悔やんでも悔やみきれない。

そうすれば君と一緒にこの場所でまた思い出が作れたと言うのに。
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