牢獄の姫君
頭が痛くなるようなことばかり言われて
フローラもアンヌもぼーっとしていた。
アンヌは部屋でクッションを壁に投げつけた。
「あーっ!もーっ!結婚なんかしたくないっ!」
「アンヌ…」
「お母様から離れれると思えばスッキリするけど」
「お相手は誰なの?」
「フランシス…えーと…長い名前なの。とにかく、公爵よ。王族に近いんだから。すごいわよね」
その夜──。
隣のベッドでアンヌのすすり泣く声をフローラは聞いた。