涙のタマゴ。

「もういいよ」
だって。


だから、
漫才コンビじゃ
ないっつーの。


ユージが、
不機嫌になって、
帰ろうとするもんだから、

いつもより
わざと大きめに泣いた。


駅前の人がコッチ見てる。



でも、
ユージは行っちゃった。



あぁ…
本当に帰っちゃう。



「ごめん」



たった一言。

言えばよかった。


でも、言えなかった。


またすぐに
会えると思ってたから…。


いつもみたいに、
すぐに仲直りできると、
思ってたから…。



ユージの背中が、
改札の向こうに消える。


涙がスーって引いてく。


一人で泣いても意味ない。


誰かがそばにいるから、
ウソ泣きは成立する。


その時だった。