ねぇ、気づいてよ【短編】
もし
わからない
と言われたら―…。
それが怖くて…。
「行こうか」
「うん」
車の中。
私は都絵君の隣で
時々都絵君の顔を見ては
すぐに目をそらした。
目をあわせるのが怖かった。
無関心な目で見られるのは耐えられないから。
「日色」
都絵君は前を向いたまま私の名前をよんだ。
「ん?」
私もまた…前を向いたままそれに答えた。
「……今日俺、多分帰り遅いと思う」
「え…あ、うん―…わかった」
嗚呼…都絵君は今日が何の日か忘れてしまったのね?