はちみつに願い事
顔は青ざめている。
「とりあえず、部屋にこい。な?」
あいの部屋のドアを閉め、ちょうどよく玄関に落ちていた鍵でしっかりと戸締まりをした。
あいを抱き上げ、部屋に入れる。
…軽っ。
やっぱりこいつ、また痩せた。しかもなんだか熱があるみたいで、熱い。
そっと、ソファに下ろす。
まだ青ざめている。
「ココア飲むか?」
頷いたような気がしたので、キッチンに行く。
レンジでミルクを温めて、ココアの粉末を入れて掻き混ぜる。
「はい。まだ熱いからな」
渡す時に触れたあいの指先は、冷えていた。
「…なんか、あったのか」
ココアを飲み終わるまで黙りきりなあいのとなりに座り尋ねる。
少し落ち着いた様子のあいはひざを抱えて座る。
「今、少し体調崩してて…」
「うん」
「それで、一人きりの家だから昔の光景をいきなり思い出しちゃって、…たまらなく怖くなっちゃって」
ぽそぽそと小さな声で話すからあまりにも頼りなさげ。