はちみつに願い事
はあ。とため息がでる。
「熱あんだよ、お前。それと毎日バイト入りすぎ。重なって不安定になったんだよ」
あいの過去は詳しく知らない。聞く事もできない。
もともと自分の事をしゃべったりしないやつだから。
調子いい事は言うけど。
「そうなのかな…」
なかなか震えが止まらない。
「さむい?」
「ううん…」
「飲み物持ってくる。ちょっと待ってて」
そう言って立ち上がると、不安そうに俺を見上げた。
こういう時って、少しでも離れると不安になるんだな。
「…一緒においで」
腕をつかんで立ち上がらせて、抱えこむようにしながらキッチンに向かった。
一瞬、ほっとした顔を見て、俺もほっとした。