はちみつに願い事
「んじゃ、お疲れ様でしたぁー」
お店の戸締まりをして、建物の横の駐車場で解散する。
「あいちゃん、また来てね」と、みんなが口をそろえたから、「ありがとうございます」とあいは少し照れたように笑った。
「よし、行くか」
「うん、帰ろ」
二人一緒に歩きだす。
「てか、おなかいっぱいじゃない?」
「ケーキ食べたしなぁ。俺はまだ入るけど、あいはもうぱんぱん?」
「んー、ごはん欲しくはないなー」
「あしたは、仕事?」
「あしたは、休み」
「あ、じゃあ俺のためにごはん作って」
「…えー」
あきらかに、めんどくさそうに健留を見るあい。
「俺、ケーキひとつじゃ足りないし」
「…仕方ないなぁ」
「よっしゃ、ありがと」
「冷蔵庫にあるものでいいよね?」
「ん、もちろん」
「なにがあるっけ?」
「きのうのハンバーグの材料の残りはあるよな。あとー…」
そんな話をしながら、のんびりあるく。
「…健留?」
「…ん?」
ふいに、呼びかけられた。
その声は、あいじゃない。
「やっぱり、健留だぁ」
「お、美香」