はちみつに願い事
「~♪~♪~♪~」
「‥‥‥」
「‥‥‥」
美香だけが、鼻歌をうたい、健留とあいは沈黙のままあるく。
不自然だ、この3人。
「ねぇねぇ、あいちゃんって、あのお隣りの子だよね?」
不意に美香が話し出す。
「…ああ、そうだよ。となりに住んでる」
「あいちゃん、健留優しい?」
「…へ?…ああ、はい、お世話になってます」
話しかけられると思っていなかったあいは少し驚き、答えた。
「健留、世話焼きだよねー」
「おい、どこかのおばちゃんみたいに言うな」
「だってそうだもん。世話焼きで、面倒見良いよー」
「珍しい、ほめてんの?」
「ちょっと、珍しいってなにー。健留ときどき意地悪言うからやだよね、あいちゃーん」
「はあ、会話のたしになるくらいには良いですけれど」
「…こいつのが減らず口だよ」
「ええ~あいちゃん面白いっ。ねぇ、連絡さき教えて?仲良くしよっ」
美香がケータイを取り出しにこにこする。
「…はい、もちろん」
あいもにこっと笑った。