SA・KU・RA
春涙 -SHUNRUI-

ナミダ

涙は、素直な心から出るもの――・・・。

いつか君が言ってたけれど。
この涙は、一体何の涙なんだろうな・・・。



「ユウ。笑っててよ~。あたし、ユウの笑った顔が大好きなんだよ?」

笑顔でそう言ってくれた君は、もう僕の前にいない。
どうして・・・?
そんな疑問をいくら空に投げかけても、答えなんか帰ってくるはずもなく。
僕はただただ、空を見上げている。

「ごめん・・・何も出来なくて・・・」

自分の無力さが嫌で仕方なかった。
今も、後悔しか残ってはいない。

そう一言つぶやいた僕を前に、君はやっぱり笑顔だったね。
そんな君に、僕はただ情けなさを隠しているしかなかったんだ。
「いいんだよ、一緒にいてくれるだけで嬉しいんだから」
そんな言葉さえ、僕は聞くのが辛かった。

そして、今もやっぱり、何も言えず何も出来ずに、
熱いものが頬を濡らしていくのをこらえるしかなくて・・・。
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