時空奏者
「お前可哀相な奴だな~…。
声、大にして言っていい?
…バーカ」
とか言い出しそうな少女の顔。
きっとあなたも彼女の顔を見たら
きっとこう言うだろう。
「う、うぜぇ…!!なんだアイツ!!
小ばかにしやがったっ…!」
…と。
または、たった一言。
「殺してもいい?」
と聞くだろう。
もちろん、そんなになるのも
皆さんだけでもなく
ハルカもだった。
「はぁ!?何、その顔!!
ムカつく…!!」
―――絶対ナメてる!!
あたしのが絶対年上なのに!
なんだ…!!
「はいはい。
すいませんでしたー。
お姉さん許してー」
ちっとも謝罪の色が見えない謝罪をした
次の瞬間。
「おら、着いたから手離せ。
シワになる」
―――変わりようがっ…!
え、ビックリなんだけど!?
ハルカは眉間にしわを寄せた。
「……なに?どこなの…っ?」
―――…さっきまでの、風景じゃない。
さっきまで雲1つなく
晴れていたはずなのに
見上げれば、どんよりとした空に
なんだか枯れているような
花が咲いていて
深い緑色をした草が生えている。
目の前、といっても
かなり遠くに見えるのは
灰色の無機質な建物。
…それはまるで
生気がない、世界。
「さっさとしろよ」