時空奏者



横を見るといつの間にか

彼女は黒のタンクトップに
黒のダボッとしたスウェットを着てた。

スウェットには
所々キラキラ光るものが
くっついていた。



―――いつの間に着替えたの?

あたしは、制服のままなのに。

……いや勝手に
着替えさせられても困るんだけどさ



「…さっさと来い!」



ご立腹の彼女。

…その顔はご想像にお任せしよう。



「は、はい…!」


―――走りたいのに、何でだろう。


足が動かない。




「…っ!」



―――どうしようもなく怖い。


今の時間も
今自分が立っている場所。

目の前の彼女も、
ありとあらゆる意味で

全てが怖い。



「何してんだよバカ」


「…ヒック…!やだぁ……!
もう、帰して…よぉ!」


うずくまるハルカ。
スッと近づく彼女。


「んな事言ってられねぇんだよ…!」


ヒュオォォと風が鳴る。



…すぐに、目の色が変わった。


「くそっ!時間がねぇ!!」


帰ってきやがった!!

ぶっきらぼうに言い放つ。


「早く立て!」


―――時間が無いって、
どういうこと…?


「む、無理…!!」


―――腰抜けたんだってば!



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