時空奏者



「…はい。どうぞ?」


ハルカがはっと隣を見ると
柔らかそうな金髪の
にこやかな青年がいた。


あぁ…違う。


オレンジの髪の、美青年だ。


「っえ!」


―――どこから沸いてきた!?


驚きまくってるハルカに
クスクス笑いながら
紅茶らしきものを出してくれた。


「あー!くそッ!」


上を見上げ
またがさごそ引き出しの中を探していく
(または漁っている)彼女。

でもすぐに止めてしまった。


「おい!クウ!!」

「クリュウさんなら出かけてるよ?」


舌打ちをして、カグラは?と聞きながら
いつの間にか
目の前のソファに座ってた青年に聞く。


「イノさんの所に
みんなの調整しに行ってる」


「はぁ?んどくせぇな…」


ブツブツ文句を言う。


―――いやいや
私にはよくわかんないけど、
その態度はないでしょ。

とんでもない赤髪少女だ。


「ごめんね?エレン、昨日偉いさんと
会合して機嫌悪いんだよね。…運悪く」



声のトーンを落として
ハルカにそっと教えてくれる。


「…ロウいい加減な事
言うんじゃねぇぞ」


―――じ、地獄耳……


そう思わずにはいられないハルカだった。


「へいへい」


軽く笑いながら頷く“ロウ”。


「…いただきます。
あ、美味しい」


飲んだ事のない味。
甘くて不思議な味なのに、凄く美味しい。





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