時空奏者



「それは良かった。
…それ苦手な人多いんだけど、
俺は好きなんだ」


フワリと優しく笑う“ロウ”。

お茶をテーブルに置き
少し聞くべきが迷ったが、
やっぱり聞こうと思って質問してみた。


「あ、あの」

「うん?」



―――首を傾げる
目の前の“ロウ”の事も気になるけれど。


「あの人、エレンって言うんですか?」


「……へ?名前聞いてないの?」



目をまん丸にするロウ
頷くハルカ



「え?…あ、はい」


微妙な空気が流れる。


あれ、変な事聞いた?と焦るハルカ。
あれ、何も聞いてないの?と驚くロウ。



「グラナ・エレン」


バッと右を見るとエレンが立っていた。

すぐにあごをしゃくり


「そいつがロウ」


「レイス・ロウです」


ロウが立って挨拶をするから
ハルカもそれにならい
ソファから立ち上がり


「矢崎ハルカです」


と自己紹介をした。
ペコリとお辞儀を添えて。


すると彼――ロウは軽く笑いながら


「あぁ、うん。
知ってる知ってる」


と言うのだった。


「へ?」


―――なんで?
だって今初めて会ったばっかりなのに。
…訳分かんない!


しかし、そんな疑問は無視する2人。



「簡単に説明すっから、よく聞けよ?」


エレンはロウの隣に座り
とっってもめんどくさそうに
何かが印刷された紙をハルカに差し出す。


―――そんなに嫌なの!?
え、なんかしましたっけあたし!?


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