時空奏者
「何これ?」
ハルカの第一印象
―――蟻の巣の図解みたい…
「これは、まあ
さっきまでハルカがいた世界と、
今、ここにいる世界の関係図みたいなもん」
エレンが伸びをしつつ、
隣のロウが
ヒュッと長い指を出し説明してくれる。
そしてさっきの疑問が蘇る。
―――いつ名前を知ったんだろう。
「これが、さっきまでいた所で…ここ」
つうっと横に指をずらし、
オルリアと書かれた所をクルクルと囲む。
「ここが今いる所かな」
「…はぁ」
―――そんな事言われても
すぐに理解できるわけないでしょ
ハルカは曖昧に頷く。
その時バタンと音がした。
「…エレン」
結構、低い声だった。
「…クウか。あ!わりぃけど、
スキニーん所行ってくれねぇか?」
のそりと現れたその姿は
軽く190センチは超えているように見えた。
「…カグラは?」
「ちょ、悪いんだけど」
今説明してるんで、と
ロウが軽く笑いながら言う。
「あぁ、そうだったな」
ガシガシと頭をかくエレン。
ロウのその眼には、
なに暴露した話をしてんだという
怒りが見える。
―――…ていうか、この人たち
説明する気無いんじゃないか。
激しく目の前の2人を疑うハルカ。
「で、オルリアの中に
俺達――アクアがあるんだ」
ロウがキリっとした顔で言う。
「…【俺達】?」
目の前のロウをじっと見つめるハルカ。