時空奏者

始まりの朝と錯覚する昼





「…カ様……ルカ様」


「んぅー」



―――もう少しで
ステーキが食べれる…!




「ハルカ様。エレン様が
早く起きろ!…とご立腹です。

自分がお守りしたいのは
やまやまなんですが、
エレン様のは意識がなくなるので…

あと1分以内に起きないと
加減なく殴られますよ」



―――うん、もう
ステーキとかどうでもいいよね!


始めて会った日の事を
瞬時に思い出したハルカは


今までで最高の速さで目覚めた。


そして

今までで最悪の目覚めとなった。



「起きました。
もうお目目パッチリ!」



―――もう、何この目覚め方…



「それは良かったです」



さらりと微笑むリン。



―――いや、良くないし!
てか、それは
【脅迫】って言うんだってば!



心の中で泣き笑いの
ハルカであった。



リンはというと…

時計を見てから急いで
寝起きでぼぉーっとしている
ハルカの着替えを手伝い

綺麗にたたまれた制服を持たせる。



ハルカはといえば…

あっという間に、
飾り気のない
黒一色のTシャツを着ていたし、
カーキ色で7分丈の
ズボンをはいていた。

ちなみに、
裾は綺麗にリンがしぼってくれた。



「…本館に行くの?」



「えぇ。そういえば
エレン様が出かける気満々ですけど…」



ドアを開け、ハルカを窺うように
ちらりと覗き見るリン。


―――…まじで?



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