時空奏者
「って訳で、出かけるから」
「ん、お前はバカか」
「出かけさせれるわけないだろ。
……お前は1回ヴァンに捕まってこい」
冷たい視線を向けるカグラに
そのままズルズル引っ張ろうとするクリュウ。
「はぁ!?ヤだね!!あたしは絶対嫌だ!」
そう言うなり、ロープを抜けるエレン。
「あ!?…エレン待て!!」
「逃げるぞ、ハルカ」
「え?え??待って、待って!!
ちょ…!ぎゃぁぁあああ!!」
風のように走り去るエレン。
と、風のように消えたハルカ。
「……カグラ、諦めろ。
俺が知る限り逃げ足は、1番エレンが速い」
「そう、だな」
2人で盛大なため息をつく。
「…後始末しようかと思ったけど、まぁいいか」
疲れきった顔でカグラがクリュウの意見を仰ぐ。
「……エレンの不始末だ。
エレンが1人で頑張ればいいんじゃないのか」
そこには、黒い笑顔のクリュウがいた。
「はは!…クリュウらしいな」
「あいつも、少しはこっちの苦労を知らないとな」
「だよな」
そして、2人はそのまま黙って
エレンへの助け舟を用意したとかしなかったとか…。
……
…
どこかから抜け出した赤髪悪魔の逃亡劇
と、巻き添えになったかわいそうな女の子。