時空奏者



「どこまで脱げばいいですかっ!?」


「えっとですね…」



これを下着の上から着てもらえれば…
なんて呑気に話していると


ドダダダダダダという地響きが聞こえた。



「な、なんですか!?
猪でも来るんですか!?」


「…ハルカ、逃げるぞ」

「はぁ!?」


青い顔をしたエレンが
ハルカを引っ張りドアに向かったその時。




「イ、ノォォォォオオオオ!!!!」




「おわっ」


飛び出してイノに抱きつく金髪の女のひと。



「イノ、イノ、イノ、イノっ!」


「…あの、営業妨害ですけど」


「やぁだ!イノの意地悪っ!!」

「意地悪って…。スティー、僕困るんですけどね」


「むー…」

「ほら、帰ってください」


「やだっ。イノがあたしの知らない女の人といるもん!
しかも片方はエレンだしっ!!」



ビシっと人差し指をエレンに突きつける。


「悪かったなあたしで!!」


「ちょっと、エレン」

「あぁムカつく」



牙を向けるエレンを年上のお姉さん気分で嗜めたのが仇となった。

エレンが八つ当たりにハルカの肩をがくがくと揺さぶったからだ。


「よ、酔うからっ」

「知るか」


エレンの気が済んだところで、
ぺたんと座り込むハルカ。


―――は、吐きそう……



「それで、あなた誰ですか?」

「わ、私?」

「…あなた以外に誰がいるんですか」


キッと睨みつける金髪美少女。
その腕はしっかりとイノの腕に絡み付いている。




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