時空奏者
―――そうですよねー
分かりきった質問してすみませんって、何か違くない?
「こら。スティー、ハルカさんに謝りなさい」
ハルカが雰囲気に負けて謝りかけたとき、イノの声がそれを止めた。
「…ごめんなさい」
「うん、いい子。じゃあ後で行きますから、上で待っててください。
僕は今から仕事ですし」
「えー!?」
ぐいぐいとスティーをドアへと押しやり、くるりとハルカの方に向いて
「じゃあ、それ着たら隣の部屋に来てくださいね。
あぁ、それからエレン。
この前のが仕上がってますから不備があったらまた教えてください」
「お!結構かかるかと思ってたのにっ!!」
やたらテンションがあがるエレンに対し
ハルカは少しずつテンションが下がっていく。
イノに手渡された白いブカブカのシャツを握って。
「ヤバいヤバい超綺麗!元に戻ってるし!うひゃひゃ」
「エレンうるさい!!…って、それ…!!」
エレンが目をキラキラさせながら手にしているものは短刀。
しかも柄のところに何かキラキラしたものが埋め込まれている。
「なんだよ、やんねぇぞ?」
「そんな物騒なものいりませんっ!!」
絶対に渡さないぞと短刀をぎゅっと抱きしめるエレン。
―――もう、ふざけないでよねっ!
「おいおい、『物騒』ってお前、これからどうやってココで過ごすつもりなんだ?」
「いやいや、過ごすつもりなんかないし!」
もう少しで言い合いになりかけたとき。
「ハルカさん、まだですかー?」
「あ、すみません!今行きます!!」
急いで着替えてから部屋を飛び出す。
そして、隣の部屋の扉を開けた。