時空奏者
「失礼しまぁす……」
―――これは、夢?
「あ、そこの椅子に座ってください」
「は、はい」
薬品のにおいがするし、壁には大きな銃が飾られており
棚には変な色の液体が入ったビンが大量発生している。
―――うぅ、不気味だよ…!
すすめられた椅子に座るとイノが色々持ってやってきた。
そして目の前の椅子に座りにっこり笑う。
「えっとですね…痛くはないので安心してくださいね?」
「!?」
―――なんですかその説明は!!
「じゃあ、見ますね」
何をされるのかと身構えぎゅっと目を閉じるハルカ。
イノはといえば、さっき持ってきたものは何も持たずに、スッと鎖骨の少し下に手をかざす。
「あぁ…これは……」
ハルカが恐る恐る目を開けると
「ひ、光ってる…!?」
「大丈夫です。少し落ち着いてくださいね」
そこは黄色に光っていた。
ありえないほどに美しく、優美に。
「い、イノさんっ…」
「少し厄介ですね……一応やってみますけど、取れなかったらすみません」
イノの手がその位置で動き始める。
何かを引っ張っているかのように。
「手強いですね、やはり」
確かに痛くはないが、怖い。
「うぅ~」
「……おかしい、今解けたはずなのに…」
ブツブツ何かをイノが唱えるたびに、光の色が変わる。