時空奏者
「エレン、待たせたな」
クリュウの声がして隣を見ると
全身黒に包まれて、ハルカの横に立ってた。
クリュウの声はどこかのんびりとしてて
今の雰囲気には全く合っていない。
「あぁ、クウ悪いな。…ハルカ、リンの所に行け」
「はぁ!?」
突然リンの所へ行け、といわれても。困る。
―――大体、どこにいるのか知らないし!
「お前、身を守るもの何もねぇだろ?死ぬぞ」
「っ…、エレンはっ?」
跳ね起きるようにしてソファから立ち上がり
トン、とハルカをの肩を押す。
「ちょっと戯れてくる」
ニヤリと笑うエレン。
「…ハルカには、危険な所だ。
それに、ハルカには見せたくないものもある」
「フレイム、悪ぃがハルカをリンの所へ連れてってやってくれ」
「了解しました」
フレイムは立ち上がると、少し機嫌が悪いハルカを引っ張る。
もう、扉の前にエレンはいた。
「行こうか?…ハルカさん?」
「うん…、エレン!」
「あ?」
「死なないでね?」
「は?」
目をまん丸にするエレン。
「…死んだら、ダメだからね?」
しゅん、としながら何かを悟ったように言うハルカ。
ニタリと笑うエレン。
「ばぁーか。
…かすり傷1つつけないで帰ってきてやるよ」
ひらひらと手を振るエレンは、
ただの、女の子ではなかった。