時空奏者
「おじゃましまーす…」
「ハルカ様、こちらへどうぞ」
「うん」
中は、意外にも普通だった。
小さな机に、椅子。
小さな窓がいくつかに、立派な暖炉が1つ。
特に、変なところは見当たらない。
「り、リン?」
「はい」
「何、するの…?」
「種類選択するだけですから、大丈夫ですよ?」
―――何の種類ですか!!?
しかも答えになってない!!
「しゅ、種類…?」
「楽しみですよ、自分も」
楽しみにすんな!、と声が出かけるハルカだったが、ぐっとこらえた。
ハルカは、大人の階段を少し上った気分だった。
「腕、出してもらえますか」
「…、何するの?」
「大丈夫です、痛くないですから」
―――その返事が一番怖いんですけど!!?
おそるおそる腕を出すハルカ。
「……透明のしたじきで何しようとしてるの?」
「…したじき?……これは、ストーンの結晶ですが?」
リンはストーンの結晶をハルカの腕に透かす。
え、あ…そうなんだ~?ごめんごめん
―――ってできるか!!
「いやいや、え!?」
どんどん透かしていく度に、リンの表情が曇る。
「…っち、合わない…」
「リン!?」
リンの本性が現れた瞬間だった。
―――怖いです、お母さん。助けて…!!
主に、リンの目が怖いですっ