時空奏者
エレンが消えて3日後は嵐の夜だった。
俺とサリア以外のメンバーが遠征からやっとアクアに帰ってきた夜。
ルーム(ハルカは応接室とかなんとか言ってるが)で4人で集まって話をしていた。
「…ふぅん、遅いね。まさか、襲われたか…?」
「エレンを襲うなんて命知らずよ、ロウ」
「確かに。
……サク、血だ。臭いがする…」
「…カグラ、誰か来た…!」
サリアが、カーテンを閉めようと窓に近づいた瞬間。
「きゃぁぁあああ!!」
「どうした!?サリ……っ!」
窓から下を覗くと、
血だらけになったエレンが、倒れていた。
「リン!下だ!エレンを担いでこいっ!!」
「はいっ!」
「ロウ!ヴァンさんに連絡!」
「あぁ!」
飛び出していくリン。
ロウはヴァンさんに連絡を取り始めていた。
緊張がルームにたちこめる。
それから数分後、
「サリア様っ!」
「…っ、るせぇ……」
「上へ!絶対に、助けるからっ!!エレン、しっかりね!!?」
リンがエレンを担いでやってきた。
エレンはすぐさま上のサリアの救護室へと運ばれたが、
その姿は見るも無残な姿だった。
―――何がエレンに起きた?
ラルフィアは強くないはず。
リンでも、余裕で勝てる相手のはずだ。
時々、上から聞こえるエレンの叫び声。
「カグラ、落ち着けって。
あとヴァンさん来れるらしいよ」
「………わかった…!」
平常心なんか、どこかへ行ってしまっていた。