時空奏者
―――結果から言うと
エレンの怪我はたいしたことなかった。
「スキニーのとこになんでか知んねぇけどヴァンがいるし!?
しかも捕まってヴァンにこき使われるし!!?
おかげさまで疲れてんのに全然知らねぇ奴らに襲われたし!?
有り得ねぇっ!ホンットに最悪だっ!!!」
ピンピンとまではいかなくても、三日後には驚異的な回復をみせた。
「…ラルフィアか?」
「はぁ?ラルフィア?
…ふん、ラルフィアがあんなことすると思ってんのか?」
「やりかねないけどね」
「ロウは黙ってろ。けど、ラルフィアは違うぞ」
「そうか」
「あぁ。目星は付いたし、
………ぶっ潰しに行ってやる」
どうやら、袋だたきに遭ったらしい。
「…ま、エレンだってタダじゃ帰してないでしょ?」
「…あ゛?
当ったり前だろうが!
あたしの腕に痣つくりやがって……
足で股間捻り潰してやったよ。
ふん、ふざけやがって…」
「…ははは!やるねぇ〜?」
爆笑するロウを冷ややかに見やる。
すると何を思ったのかニヤリと唇の右端をあげて笑い始めるロウ。
「カグラさぁ、明日代わりに行ってきてあげなよ。
可哀相じゃん?
……最期がエレンなんて、さ?」
「俺の知ったことじゃないな」
「別にいいけど。
エレンがいったらそれはそれで面倒だよ?」
「なんだそれ、あたしに失礼だろうが」
「……まぁ、そうだが」
「納得すんなカグラ」
「でしょ?」
「ロウ、あのな…」
「仕方ない。…今回だけだ」
「うんうん、そうしとこー?」
「てめえら、あたしの話を聞けーっ!!」
―――さてと、
さっさと準備をするか。