時空奏者



翌朝、まだエレンは拗ねていた。



「あたしが行くっつってんだろ」

「ダメ。エレンが行くとややこしくする上に、俺が面倒だし」

「ロウてめぇ…!」



ロウが宥めても言うことを聞かない。


ま、当然だろうが。



「アスタにも迷惑かけるし、サリアが心配して泣いちゃうからねー?」

「うっせぇぞ」

「はいはい、お留守番もたまにはいいもんだよ?」

「……チッ」

「じゃ、カグラいってらっしゃーい」



「あぁ」



ったく、


自分の不祥事ぐらい穏便に抹消して欲しいもんだ。



――――――――――
――――――

――



アクアからずっと南にあるのは、ただただ広がる荒地。


「ぐっ、は…ぁ!」

「今回は世話になったな。
…ったく、面倒なことしてくれやがって」

「うぁぁあああ!!」



何人か男が銃や木刀のようなものを持って倒れている。

カグラが鳩尾に右ストレートをお見舞いした後に、首に手をやる。



「首を折るか、背骨を折るか、


お前はどっちがいい?」



ギリギリと手の力を強めていく。



「っひぃ…!!」



―――冗談が通じないか。




「おい。


……次はねぇぞ」




そう言って、気絶させるカグラ。



去っていくカグラの黒い服には




血も付いてなければ、
傷も、付いていなかった。



< 74 / 81 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop