羽菜の日記
「エロい顔してる」

「生まれつきだよ。はい、幸せのおすそ分け」

そっと、取り出した袋、リボン。

赤いリボンが彼の手まで揺れていく。その瞬間を、カメラみたいに心に収める。

お、もしや?

喜んでくれるから。

手の震えも少し治まる。

「一個、年寄だね」

「年長といえ」

「じゃあ、尊敬がこもってるよ、それ。大切にしてね」

「じゃあ礼は何がいい?」

お礼?

思いもしなかった提案に、さっきまでのきれいな残像が粉々。

どうしよう?
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