Time is gone
Case1 真哉
 終わった……。
 溜息と共にパソコンの電源を落とし、壁にかけられた時計を見ると、すでに八時を過ぎていた。一日の仕事を終えたのは俺だけではない。パソコンもまた、プシューッという溜息を漏らした。光を失ったディスプレイには、疲れ切った顔が映し出された。
 これで長い一日が終わった。そして、さらに長い一週間が。
 帰り支度を始めていると、不意に背後から声をかけられた。
「真哉、お前もあがりか? どうだ、一杯」
 同僚の友雄だ。俺が躊躇っていると、友雄は急かすように付け足した。
「今日は金曜だし、それに何と言ったって給料日だろ。付き合えよ」
 そうか、今日は二十日、給料日だ。一ヶ月なんてアッと言う間だ。
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