Time is gone
 それ以来、今まで必死になって詰め込んできた全て、一生利用価値のない英単語が、愚かなだけの歴史が、こじつけたような数式が、現代国語が古文が漢語が世界史が化学が物理が、その全てが、ハズレくじのようにしか思えなくなってしまった。そんなものを一生懸命集めても、何の代わりにもならない。
 だからこそ僕は、敷かれたレールを外れた。次のレールも、見つからないままに……。

 夕日は沈んだ。その残光がどうにか夜の訪れを防いでいる。
 帰ろう……、じいちゃんに余計な心配は掛けさせたくない。
 そう思い釣糸を引き上げようとした僕の腕は、微かな反応を感じた。
 獲物だ! 
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