Time is gone

　冷たいシャワーを浴びている内に、徐々に苛立ちは納まっていった。冷静さを取り戻すと、今日一日の予定を頭の中で整理した。
　先ずは飯を食い、それから下見に行く。それから昨夜の戦利品の整理だ。……いや、戦利品の整理が先だ。こんなクソ暑い中外に出たら、アイスじゃなくても溶けてしまう。下見は、陽が傾きだしてからだ。
　シャワーを浴び終えると、素っ裸のままパンをかじり、そのまま戦利品の前に座った。それらの仕分け作業をするためだ。仕分け作業は売れるものと売れないものを分け、大方の金額を算出する作業だ。
　その両手には手術で使われるような、透明のゴム手袋がはめられていた。素っ裸の体に両手だけゴム手袋……、はたから見れば滑稽な姿だが、俺は真剣だ。
　もちろん、そのゴム手袋には意味がある。万が一のときに備え、指紋を残さないためだ。備えあれば憂いなし、一つの油断が命取りになりかねない。