Time is gone

「最近、その人から連絡あった？」
「テストが近いんだ、それが終わるまでは、店も休んでる！」
「学生なんかじゃないよ。一昨日も、出勤していたよ」
「でたらめを言うな！　お前が、そこらの探偵が、彼女の何を知っている！　あの子は……」
　あの子は……、俺は梨花の何を知っている。何を……。
「こんなこと言いたくないけど、騙されていたんだよ。お金目的だったんだよ。だからしんくんの会社があんなこと……」
「うるさい！　うるさいうるさいうるさい！　あの子は金のために男を騙すような子じゃない！　医学療法師になるために、その学費のために、いやいやあんな店で働いているんだ！」
　そうだ、その通りだ。梨花はそういう子だ。食事をしたときも、代金を半分だそうとした。次は奢ると言った。金が掛かるから店にはあまり来ないように言った。服装だってメイクだって普通だった。そんな子が、男を騙すわけがない！　
　……こいつは、俺から梨花を奪おうとしている。