くじら













機関車での移動は
中々きつかった






亜美子さんが、
気分が悪いわと言いながら


寝ていた







着いたところは
海も山もあるある地方…




一応名目は、
臨海学習と銘打った

旅行みたいなもの。





「きれいねー。いいところだわ、」




綾子さんが ふふと話し掛けた




「えぇ。…」





先生をちらりと見ると
海をじぃと眺めていた






くじら。






くじらは海の中にいる…




もしかしたら


"澄さん"は先生を
その名前で呼んだのかしら





"くじら"



彼女を思い出してるの?


「先生…、海綺麗ですね。」



「えぇ、いい所ですね」






にこりと笑った
私を見て、いつもみたいに





「潮の匂いがよくしますね…。ちょっと鼻にきますね、」



ずっと鼻をすする先生





< 123 / 370 >

この作品をシェア

pagetop