くじら
機関車での移動は
中々きつかった
亜美子さんが、
気分が悪いわと言いながら
寝ていた
着いたところは
海も山もあるある地方…
一応名目は、
臨海学習と銘打った
旅行みたいなもの。
「きれいねー。いいところだわ、」
綾子さんが ふふと話し掛けた
「えぇ。…」
先生をちらりと見ると
海をじぃと眺めていた
くじら。
くじらは海の中にいる…
もしかしたら
"澄さん"は先生を
その名前で呼んだのかしら
"くじら"
彼女を思い出してるの?
「先生…、海綺麗ですね。」
「えぇ、いい所ですね」
にこりと笑った
私を見て、いつもみたいに
「潮の匂いがよくしますね…。ちょっと鼻にきますね、」
ずっと鼻をすする先生