くじら
哀しそうに見えるのは
先生が悲しいと 言わないからだわ
言ってくださったらいいのに
わたしは多分すこしなら
受け止められる
受け止められたらいい。
好きだから
旅館は 海から
少しばかり離れた
立派な和風の旅館
物珍しく わたし達は
騒いでしまった
「騒がない!品性を失わずすごしなさい。皆さんは淑女なのですよ」
「はぁい…、」
付き添いの先生は
藤堂先生と他三名
「せっかくの旅行くらい、ゆっくりしたいですわ。ねぇ、瑠璃子さんっ」
亜美子さんは
ちょっと怒っていた
「えぇ、ちょっと窮屈ですね」
昼間は町や、
史跡を見学した後
旅館に戻った
くたくたになったけど、私達はお喋りをしていた
旅行にそこまで品性を
持っていきたくない