くじら





「……寂しいですか?」




「いいえ。寂しくなんかないです。」






先生は そうですか。
と言っただけだった












結婚式の聡子さんは
とても綺麗で笑っていた






他に好きな人なんて
いないという表情で…







先生は少し離れた
所で拍手をしていた





聡子さんは
自由に恋してもいい


と言ったけれど、






本当にそれは出来るのかしら。







ずっと続いていけるか、分からない





いまは先生が好きだけど…



さきはわからない。





不安だらけ…、





それこそ真っ暗な海に飛び込むみたいな






先生…






分からないです。












「瑠璃子さん…。」


「あ、先生…、式は…」



周りに人はいなかった


先生はわたしの横に立っていた






ぼうっとしていた




「終わりましたよ。君のお母様は分からなかったみたいですが…」





「…すいません。なんか色々考えて…」




先生はすっと横に座った。



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