くじら














少しして先生と
披露宴会場に行った




「……瑠璃子さん、すいませんが。ちょっと抜けます、すぐ戻りますから」




「はい…」


先生は会場に着くと
引き返して行った




「何か用事かしら…」





ちょっとほっとした。
披露宴会場は、賑わっていた。


「まだ来ないのかしらね、花嫁さんは…」


「きっと…時間かかってるのよ」



聡子さんは
まだ来ていない…のね






























「安藤さん、」


「…何故またいらしたの?藤堂様…」






自分の目の前には
白無垢の彼女がいる



「先程、使いの方から伝言を聞きましたから。」





彼女はふっと笑った



「…聞きたい事があるの、藤堂久白さん。まだあの仕事をしているの?」



椅子に座ったまま
彼女は聞いてきた




「……、それですか?聞きたい事は。」



「えぇ、瑠璃子さんがいたら話せないわ。」






彼女…


安藤聡子は、
自分のしている事を知っている




「……しなきゃ生きていきませんからね。」





「瑠璃子さんには言ってないでしょうけど、いずれ分かるわよ。どうなさるの…」



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