くじら
「―彼女には……。」
―わたしはわたしです。
―大丈夫です、先生。
わたしは汚くても…好きです
本当に?
自分の汚い所を知っても…。
「貴方が言わなくてもいずれ気付くわ。彼女は…、傷付くわ。きっと…」
「……そうかもしれません。」
彼女は立ち上がって自分をみた
「……あなたは本当に彼女を好きなの?」
「好きですよ。唯一興味がある人間だから…」
無表情で、そうと言った
「……大切にしてあげてちょうだい。私も出来る限りの事はしてあげる。あの子には幸せになって欲しいの、本当に…」
幸せになって欲しい…。
瑠璃子さんも
たしかそう言っていた
「もう時間だわ。」
丁度ノックの音がした。
「ではまた藤堂先生。」
「はい、安藤……須藤様。お幸せに…」
何も言わず微笑み
彼女はドアに向かった。