くじら




中は、宴会騒ぎみたいに
騒がしかった。






座っている人も
立っている人もそれぞれ

楽しんでいる。






「……」


「瑠璃子さん、どこにいたの。全く……挨拶しなさい」




「母様!……あぁああ」






有無を言わさずに
私は先生から離された






先生はにっこり笑っていた






先生……






たくさんの人ごみの中に笑顔は消えた





「ほら、瑠璃子…。……議員の息子さんよ、」



「はい、…初めまして四条瑠璃子と申します」




顔もわからない人に
ペコリと頭を下げた












こんな事したくないのに










先生…




会場の中にいるのかしら…



それとも外かしら…





「あのぅ……四条瑠璃子さんでしょうか…。」





振りかえると
使用人らしき人がいた



「はい…、何か…」


「…藤堂様から伝言を承ってます。外にいるから…と」






外…


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