くじら
綾子さんは笑って言った。
「おい、」
「何ですか。……昴、」
久白兄さんは、黙ったまま見ていた。
久白兄さんは、披露宴会場の廊下にいた
「瑠璃子さん帰ったけどいいのかよ。」
「構いませんよ。」
ふっと笑った。やっぱり怖い、と感じる。
優しい笑いに見えるけど
そんなんじゃない
狂気じみた、そのままで
人を殺せそうな笑い
「…昴、そのうち彼女に話します。僕が裏でしている事」
「はぁ!そんな事許されるとでも…」
「いずれ君の元に行くはずです。……大丈夫、彼女は他人に話しませんよ」
頭がおかしいのか。
人を譲るなんて、俺が馬鹿みたいじゃないか
「……そんなやり方でなら、いらない。」
きっぱりと俺は言い放つ。
「大体、瑠璃子さんと花嫁に挨拶しに行ったんだろ。、“大事にします”とかなんとか…嘘かよ、」
「………」