くじら


「綾さんは、学校では真面目ですか?」



「ええ…。英語の成績が学年で一番で、…とても真面目です」




そうですかと織人さんは笑った





まるで自分の子どもの様子に安心する父親みたいに。



「中々、綾さんは教えてくれなくて聞けて良かった」




「綾子さん隠されているんですか、織人さんに…何故」




綾子さん成績はどれもいいはずだわ…



確か。






「『勉強のお話は、学校だけで十分。貴女までそんなつまらない事聞かないで』…と怒るんです」





―勉強のお話は、学校だけで十分。





「ふふ…、」




綾子さんが怒ってる姿が目に浮かぶ





織人さんはにこりと笑う




「確かに俺も家でまで言われたくないけど、たまに心配で。留学するって言ってるから…」






―将来、留学出来たらって考えてるの。



「……」





綾子さんは真剣に留学を考えてるけど…




留学するのは男性ばかりだから、ちょっと難しい…







コンコンとドアが叩かれた


「…お茶を持ってきたわよ」



綾子さんの明るい声がした
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