くじら
ミーンミンミーン
ミーンミンミーン
「……」
「綾子さん、針が進んでないよ」
織人さんは綾子さんに指摘した
「うるさいうるさい!うるさぁい」
「綾子さん…」
わたしは綾子さんを押さえた
今日は三人で夏休みの課題をしている
織人さんはため息をついた
「家庭科が本当に苦手なんだな。瑠璃子さんを見ろ、何で出来ないんだよ」
「知らないわ」
綾子さんは針と布を置いてふてくされた
「避暑にいきたいわー。織人さぁん」
「課題が終わったらな、俺も大学の課題があるんだよ」
わたしは針と布をおいた
「どうせちょちょいと出来るんでしょ?良いわよね、男の方は家庭科なんてなくって…、不公平だわ」
「綾子さん…」
綾子さんは 立ち上がり部屋を出た
「気にしないで下さい。頭冷したら戻ってきます」
「はい…。」
織人さんはパタンと本をしまった