くじら



「本当は課題終わってて、避暑いきたいんですけど。綾子さんの為に待ってあげて下さい」




織人さんはふっと
仕方なさそうに笑う





「はい。」





「そういえば、藤堂先生とは何か約束されてますか」





「いいえ…、何もないです」






―久白兄さんを
助けたいなら…




―僕と婚約
されるのが一番早いです





―藤堂家が久白兄さんを使ってるのは



跡継ぎが見つからず
不透明だから


だから邪魔な企業や
財閥を潰したり、


情報を横流ししたり
して没落を防いでます




まぁいけない事なんですが。





ですが僕なら、
多少勉強はしてますし




継ぎたいと
いえば継げます



そのためには

将来の伴侶の存在が必要なんです








―この案はまぁ、無理でしょう。



僕が
思いついただけです




これから
考えていきませんか?








「何か…あったのですか」



織人さんは、カラカラと窓を開けた



「いろいろ…と。」





「……藤堂家に関わらず。貴族の家は厄介です、内部の人間以外に隠してる事は山程ある…、」



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