くじら
「珍しいですね。直々に来て下さるなんて…、」
「―家が家だからだ。久白、」
ぱさっと机に書類を置いた
「家が家って…」
封筒から書類を出した
「須藤光一…。」
須藤家…。
確か 瑠璃子さんが慕っていた人が…。
「……どうしかしたか」
「いえ…」
―幸せになって欲しいです。
―寂しくなんかないです
蝉の音がやたらうるさく聞こえる
うるさい…
「美味しい~、ね、瑠璃子さん」
「えぇ。ありがとうございます、織人さん」
織人さんは食べ終わった
ガラス皿を眺めながら頷いた
「…いやいや。綾子さん食べ過ぎだよ」
「ふぁに…なに言ってるのよ。美味しいじゃないの」
綾子さんは美味しそうに食べていた
「あれ…聡子さん?」
「ふぁとこさん、」
私は断りを入れて席をたった
たくさんの人の中に聡子さんが見えた。
「聡子さん!」
丁度聡子さんは振り返ってくれた
「あ、…瑠璃子さん」
ちょっとびっくりした後に笑った
洋装のワンピースを着ていた
結婚式以来
なかなか会う機会がなかったから
久しぶりな感じがする